意見広告とは | 実施可能な媒体や事例など

みなさんは一風変わった広告手法、意見広告というものをご存じでしょうか。新聞紙面や雑誌、広報誌などを利用して行われる意見広告。通常の広告宣伝とは違い、企業(個人)が国民全体に意見を投げかける媒体として古くから利用されています。

今回は、マーケティングとは少し違った目的で利用される広告手法、意見広告について紹介していきます。

意見広告とは

意見広告とは、新聞や雑誌紙面、広報誌などを利用した広告手法の1つです。自社の商品・サービスや認知度向上などで利用する宣伝広告とは違い、行政や政治に関する意見を公に意見する場として広告スペースを利用する手法として、多くの企業(または個人)に利用されてきました。

意見広告が掲出される代表的な媒体

意見広告を出稿する媒体は、不特定多数の有識者にリーチできる、かつ、信頼性の高い媒体である必要があります。そのため、新聞(特に全国紙)は意見広告を出稿するのに最も良く利用されている媒体です。信頼性・公共性の高い新聞に意見広告を掲載することで、広く世間に意見や主張が訴求でき、自社の認知度・信頼度を向上させることができます。
新聞のほかにも、政治・経済についての記事や特集が多い月刊誌や週刊誌などが利用されています。

新聞広告については、下記記事で詳しく説明しています。併せてご覧ください。

新聞広告ってどんな広告?紙媒体を代表する「新聞広告」の仕組みなどを徹底解説!

意見広告出稿時の注意点

1.意見広告と記載が必要

意見広告は一般的な宣伝広告とは違うため、その内容が意見広告であると読者に伝わるように『意見広告』と目立つ位置に記載することを必須とする媒体がほとんどです。多くの場合、広告の上部に枠で囲われて表示され、掲載する媒体によって表示サイズも規定されています。

2.広告主の連絡先記載が必要

意見広告は行政や政治に対する意見を公に発表する場として利用されるため、その意見に対して賛否を問う内容や議論を生む内容が中心となります。そのため、掲載内容に対する意見を受け付ける広告主の連絡先を記載する必要があります。

このように意見広告には、従来の宣伝広告を出稿する時とは違った細かい規定があることが多いため、予め出稿先の媒体に出稿に際する規定を確認することをお勧めします。

意見広告の事例

意見広告は企業や個人が行政や社会に向けて、公に訴えかけられる数少ない広告手法です。中でも新聞広告は、不特定多数へリーチできるため社会的影響が大きく、多くの企業が意見広告の媒体として利用しています。直近でも、経済活動が全国的に不安定な状況だったこともあり、新聞紙面を利用した意見広告が多く掲出されています。

株式会社宝島社 政府のコロナ対策への意見広告

出典:【5/11(火)掲載 企業広告】ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戰えというのか。このままじゃ、政治に殺される。

2021年5月11日に日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞の全国版朝刊に掲載された株式会社宝島社の意見広告が話題となりました。新型コロナウイルス感染拡大から1年以上が経過していますが未だに収束の兆しが見えていません。この1年で行われてきた行政の科学的根拠のない発言や取り組みへ警鐘を鳴らすため、この意見広告が掲載されました。

同社では、2021年1月にも新型コロナウイルス感染拡大対策として、濃厚接触を控えるよう訴える意見広告を出稿しています。その他にも過去、多くの意見広告を出稿しており、各紙の広告大賞や、グッドデザインなどを多く受賞しています。

旭酒造株式会社 『飲食店を守ることも 日本の「いのち」を守ることにつながります』

出典:【5/24(月)企業広告】「獺祭」日本経済新聞に意見広告を掲載しました

日本酒「獺祭」の製造元でもある、旭酒造株式会社は2021年5月24日に日本経済新聞の全国版朝刊に意見広告を出稿しました。旭酒造が出稿した意見広告には、政府が繰り返し発出している緊急事態宣言によって、飲食店の閉店・倒産が相次いでいることに対する訴えが掲載されました。同社によると、休業や時短営業、アルコール類の販売禁止など、緊急事態宣言に盛り込まれている飲食店に対する制限内容を見直す必要があると考え、広告出稿に至ったそうです。

旭酒造株式会社の意見広告に関する詳細はこちら。

獺祭の旭酒造、桜井社長に聞いた意見広告に込められた想いとは - 日本のいのちを守る

昭和食品工業株式会社 意見広告に載せた世間への切実な訴え

出典:昭和食品工業株式会社 うどん黒田藩 からのお知らせ

福岡県を中心に飲食店を多店舗展開する昭和食品工業株式会社は、2021年6月15日、日本経済新聞の全国版に意見広告を出稿しました。昭和食品工業が出稿した意見広告には、飲食店を経営する中小企業目線で、緊急事態宣言下の不安や苦しみがありのままに掲載されています。また今回の意見広告では、度重なる緊急事態宣言や自粛要請などに対して、国にゆだねるのではなく国民自身が正しい知識を持ち行動することが重要とも述べられています。

まとめ

意見広告は従来の広告宣伝とは掲載目的が大きく異なる、少し変わった広告手法の1つです。新聞紙面を利用した意見広告は、公共性の高い媒体に意見を掲載、世間に公表できるため、より深刻な情報として不特定多数の人に届けることが可能です。社会情勢が不安定な昨今、特に積極的に利用されている意見広告。今回はそんな一風変わった広告手法、意見広告の紹介でした。

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