インフォマーシャルについて徹底解説! | 音と映像で商品理解を高めて購買行動を促す広告手法

テレビを利用した広告手法としてすぐに思い浮かぶのは「テレビCM」だと思いますが、それとは別にインフォマーシャルを皆様はご存じでしょうか? 

インフォマーシャルもテレビCMと同じくテレビを利用した動画マーケティングにあたりますが、広告感が無く、視聴者が違和感なく触れられるよう工夫がされています。また、単にブランド認知を働きかけるだけでなく、視聴者に購買行動を起こさせやすいメディアの1つでもあります。

今回はインフォマーシャルについて、特徴やテレビCMとの違い、メリットをご紹介します。

インフォマーシャルとは?

インフォマーシャルはテレビコマーシャルの種類の1つで、いわゆる通販CMです。テレビで放映される番組と番組の間に流れる数分間のテレビショッピングや、短い番組などが例として挙げられます。「インフォマーシャル」という言葉は、情報を意味する「Information(インフォメーション)」とテレビCMを意味する「Commercial(コマーシャル)」が合わさってできた造語です。


ビズ男(初心者)

インフォマーシャル?

広告の専門用語ですかね…?

初めて聞きました。

ビズパ先生

インフォマーシャルはもともとアメリカで生まれた言葉です。日本では九州地方で成長した手法と言われていますよ。

日本でインフォマーシャルが生まれたのは、15,000円もの高額な洗顔石鹸をテレビCMで宣伝したいという、ある会社からの依頼がきっかけとされています。


相談を受けた広告会社は、商品自体はとても優れているものの値段が高い石鹸に対して、単純に15秒程度のテレビCMを打つだけでは売上が見込めないと考えました。

そこで、商品の良さをじっくり説明できるよう、商品の宣伝を兼ねた30分程度のビューティートーク番組を制作します。 結果として、番組の初回放映終了後に石鹸は200セット以上販売という大成功をおさめました。

ビズ男 (初心者 )

30分ひたすら石鹸についてトークする番組って

どんな番組だろう…

確かに、これは驚きの宣伝方法ですね!

ビズパ先生

当時、30分のCMは異例でなかなか放映許可が下りなかったそうです。

そんな中で、とあるローカル局が放映を許可し実現に至りました。

ビズ菜(ベテラン)

1商品のために30分の番組を作ってしまうなんて、大胆な手法ですもんね!

この石鹸の成功事例以降、インフォマーシャルは新しい広告手法として広がっていきます。



インフォマーシャルの尺は短いものから長いものまでさまざまです。短い尺(1分~10分)の場合はたくさんオンエアできるため、紹介する商品の認知度向上が期待できます。

一方で、長い尺(10分以上)の場合は商品についてじっくり説明できるため、視聴者の理解度が高まる点がメリットです。

テレビCMと異なり、1分以上の尺が基本のインフォマーシャルでは、コンテンツ内で同じような表現やシーンが続けば視聴者は飽きてしまい広告効果が見込めません。そのため、石鹸の例のようにトーク形式にするなど視聴者を飽きさせない工夫と良いクリエイティブ制作が必要です。

テレビCMとの違い

テレビを利用した広告手法であるインフォマーシャルとテレビCM。インフォマーシャルと一般的なテレビCMではどのあたりが異なるのでしょうか。

似ているようですが、インフォマーシャルとテレビCMには2つの明確な違いがあります。

尺の違い

インフォマーシャルとテレビCMでは放映される時間に違いがあります。番組と番組の間に放映されるテレビCMは、15秒や30秒ほどの短い尺で流れるのが一般的です。


一方で、インフォマーシャルは短いもので1分、長いものでは1時間ほどの尺で放映されるなどテレビCMより尺が長い場合が多いです。尺が長い分、インフォマーシャルでは商品やサービスの特徴を細かく説明します。

目的の違い

インフォマーシャルとテレビCMでは放映目的が明確に異なります。

テレビCMの多くの放映目的は、商品やサービスの「認知向上」または「興味喚起」です。テレビCMは尺が15秒と短いため、短時間で視聴者にインパクトを与え、商品やサービスを知ってもらう必要があります。そのため、有名なタレントの起用や、表現方法を工夫したクリエイティブが制作されます。


一方インフォマーシャルは、視聴者に注文や問い合わせといった「購買行動を起こさせること」がメインの目的です。長い尺を生かして商品やサービスの魅力を細部までたっぷりと説明し、最後に問い合わせ先を添えたうえで視聴者の購買欲を刺激させるのが特徴です。


インフォマーシャルの種類

テレビを視聴しているうちに、誰もが必ず目にしているインフォマーシャル。代表的なインフォマーシャルの種類を2つ説明します。

テレビショッピング

最も有名なインフォマーシャルといえば「テレビショッピング」です。

テレビショッピングでは、商品の名前や「〇〇ランキング1位!」といった実績、商品の特徴、他の商品との違いなどを細かく紹介します。そして、現在視聴している方限定で、紹介した商品の割引や配送料無料といった特典をつけ、即時購入を促すのが特徴です。

ビズ男(初心者)

なるほど、テレビショッピングは分かりやすいですね!

最近は、商品担当者の方が出演している場合もあれば、タレントが出演している場合もありますよね?

ビズパ先生

お昼の情報番組などで流れるものでは、番組の出演者を起用したものも見られます。

あたかも番組コンテンツの続きのように見せることで、見る側が違和感なく視聴できるよう狙った手法です。

ビズ菜(ベテラン)

あー、見ていた番組の延長みたいな形でテレビショッピングが流れる事、たまにありますよね。

確かに、番組を見ていた流れでそのまま見て、紹介していた商品に興味持つケースって結構多いかも。



グルメ番組や旅行番組

旅行会社や食品関連会社などがスポンサーとして制作されている番組でとられる手法です。

例えば、旅の様子を放映する中で訪れた土地の名産品を紹介したり、グルメを楽しみながらお酒の紹介をしたりするものが見られます。

番組コンテンツでのインフォマーシャルは、広告のような印象が薄く違和感なく見られるため、視聴者からの信頼を得やすいメリットがあります。


ビズ男(初心者)

この前、タレントが料理をするテレビ番組を見ました!

たしか、料理を食べるときに

一緒にビールの紹介をしていましたね。

ビズパ先生

おそらく、紹介されたビールを販売する会社が番組のスポンサーをしているのでしょう。

他にも、1社の鉄道会社が提供する旅番組などで、自社の交通情報などを紹介すればインフォマーシャルに該当しますよ。

インフォマーシャルのメリット

テレビCMよりも制作の自由度が高く、即時購入を促す手法として利用されているインフォマーシャル。インフォマーシャルのメリットについて紹介します。

尺が長く、商品をじっくり説明できる

インフォマーシャルのメリットの代表格が、長い尺を生かして商品の魅力を多く伝えられる点です。テレビCMは1本の長さが15秒~30秒と決められており、決められた時間にあわせて制作されます。尺が短いテレビCMでは商品・サービスの特徴や詳細説明よりはキャッチーなフレーズや金額など、ポイントを絞ったクリエイティブが圧倒的に多いです。

逆にインフォマーシャルでは、長いと番組1本分の時間で制作が可能です。時間が長い分、出演者が商品を使ってみたり、感想を言ったりするシーンも確保できるため、結果的に商品やサービスについて細かく説明でき、視聴者により多くの魅力を届けることができます。

圧倒的なリーチ量が見込める

テレビを利用することで、ターゲット層の多くにメッセージを届けられる点もインフォマーシャルのメリットです。インターネットの台頭により人々のテレビ視聴時間は減っていると言われるものの、テレビはメディアとしてはまだまだ大きな力を持っています

また、放映している番組である程度、視聴者層が絞り込める点も特徴です。例えば、韓国ドラマがやっている時は主婦層、ビジネス番組がやっている時は会社員など、番組で視聴者層が絞り込むことができます。

商品・サービスを訴求したい層が多く視聴しているであろう番組に合わせてインフォマーシャルを実施することで、ターゲットとする層の多くの人に広告を訴求することが出来ます。

視聴者の反応をリアルタイムで見られる

広告効果がリアルタイムで確認できる点もインフォマーシャルのメリットです。

インフォマーシャルでは最後に電話番号などの問い合わせ先を表示するため、注文や購入といった直接のコンバージョンに結びつきやすいです。放映直後に問い合わせがあればインフォマーシャルを見て問い合わせた人だと判断でき、どれくらいの広告効果があったかすぐに確認できます。

また、インフォマーシャルを見た人がどれくらい購入したかを把握する方法として、インフォマーシャル内でクーポンコードなどを発表し、それを注文時に確認する方法もあります。

ビズ菜(ベテラン)

…あと、テレビは「信頼度」の点でも優位ですよね。

テレビは公共放送ってこともあって、視聴者の信頼度が非常に高い点が強みです。

ビズパ先生

その通りです。

同時に、紹介する商品やサービスに対しても好感を抱いてもらえる可能性が高いでしょう。

インフォマーシャルにはこうしたメリットがある分、デメリットもいくつか存在します。特に注意すべき点は、インフォマーシャルはインターネット広告と比べると、広告費用がかなり高額になる点です。

長い尺を使うインフォマーシャルでは、商品説明や使用体験談といったさまざまな要素を盛り込むため、制作に手間がかかります。さらに、テレビで放映するインフォマーシャルは、製作費とは別に放映料をテレビ局に支払わなくてはいけません。放映料は地域や時間帯、視聴率によって異なりますが、かといって安い料金帯のものを選ぶとターゲットと視聴者がマッチしていない可能性があります。

広告費用を抑えつつ効果を出すためにも、番組の視聴者層とターゲット層を踏まえ、十分なプランニングをしたうえで放映枠を決める必要があります。

ビズ菜(ベテラン)

テレビは多くの人に見てもらえる可能性が高いですよね。

とはいえ、Web広告のように低予算で実施しにくく、細かいターゲティングができない点はデメリットかもしれませんね。

ビズパ先生

あと、嬉しい悲鳴ではありますが、

放映直後は問い合わせが殺到するため、専用のコールセンターを用意するなどの準備も必要です。

ビズ男(初心者)

なるほど。

今、EC企業でもコールセンターを持っていない場合もありますもんね。インフォマーシャル放映中の注文や即時性を求めるなら電話注文が可能な体制は整えておくべきかもしれないですね。



インフォマーシャルの事例

アウトドアブランド「LOGOS」のインフォマーシャル

出典:大原優乃さん演じる各務原なでしこがLOGOS SHOPに登場!テレビ東京系3月29日(月)夜11時6分放送の「ゆるキャン△スペシャル」にてインフォマーシャル放送決定!

株式会社ロゴスコーポレーションが手掛けるアウトドアブランド「LOGOS」。LOGOSはキャンプがテーマのドラマ「ゆるキャン△」とコラボし、ドラマの放送時間内にインフォマーシャルを放映しました。

インフォマーシャルの内容は、大原優乃さん演じる「ゆるキャン△」の登場人物・各務原なでしこがLOGOS SHOPを訪れるというもの。ドラマのキャラクターがLOGOSの商品を宣伝することで、ドラマファンにも受け入れられやすいインフォマーシャルとなりました。

近年では、この事例のようにテレビ内で放映するだけでなく、Youtubeなどの動画プラットフォームを活用したインフォマーシャルも多数みられるようになりました。 インフルエンサーマーケティングに近い部分もありますが、出演する有名人のファンが視聴するケースが多く、ファンであるゆえ購買行動に繋がりやすいメリットもあります。

株式会社アデランスの「Fast Wig Justy」のインフォマーシャル

出典:レディスアデランスのサービスや、ウィッグが初めての人でも簡単装着でボリュームアップできる「Fast Wig Justy」を紹介 タレントの松本明子さんが出演するインフォマーシャルを放映

毛髪、美容関連の事業を営む株式会社アデランス。「Fast Wig Justy」のインフォマーシャルはタレントの松本明子さんを起用し、同世代の女性に受け入れられやすい内容になっていました。

コンテンツ内では、松本さんがレディスアデランスを訪問し、サービスの紹介や初心者でもつけやすいウィッグ「Fast Wig Justy」の魅力を解説しています。

株式会社オークローンマーケティングの「ゆらこ」のインフォマーシャル

出典:~寝たままゆらゆら骨盤運動で、美しいボディラインに!グランジ大さんも大絶賛!~椿鬼奴(47才)が「ゆらこ」4週間チャレンジで、ウエスト-16cm &人生初の腹筋線も!

ショップジャパンを運営する株式会社オークローンマーケティング。寝ながら簡単に骨盤運動ができるフィットネスマシン「ゆらこ」について、椿鬼奴さんを起用したインフォマーシャルを放映しました。

椿鬼奴さんは実際に「ゆらこ」を4週間使用し、ボディラインの変化を観察。あわせて、実際にウエストが-16cm(85.3cm→69.3cm)になったという結果を紹介しました。著名なタレントを起用することで視聴者の興味関心を引く他、商品の体験談と成功結果を織り交ぜ、視聴者への信頼度を高めたインフォマーシャルです。

まとめ

テレビという巨大メディアを利用しつつ、商品の特徴をじっくりと説明し視聴者の購買を促すインフォマーシャル。一度見ただけで広告だとわかりやすいテレビCMは、録画で番組を視聴した際などにスキップされてしまう可能性も否めません。

しかし、番組と同じ出演者を起用したインフォマーシャルなどの場合は、気になって視聴することも多いでしょう。こうした違和感なく視聴者に商品やサービスの紹介ができる点も、インフォマーシャルの強みです。

インフォマーシャルを利用する際は、視聴者の関心を引きやすいクリエイティブ制作と、ターゲットにあわせた放映タイミングを意識することが重要です。尺が長い分自由度の高いインフォマーシャルは、テレビCMよりもさまざまな工夫を取り入れられるため、今後も新しい表現方法を用いたインフォマーシャルが生まれるでしょう。



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