広告業界における「媒体」について徹底解説!|消費者・企業などに対し広告宣伝する際の媒介手段

2020年の日本における様々な広告媒体を合わせた総広告費は6兆1,594億円で、前年比88.8%という結果になりました。2020年3月に世界中に新型コロナウイルスが感染拡大したことにより、レジャー・外食を中心に多くの業界で業績悪化が見られ、この業績悪化が全国的な広告費削減に影響しました。


近年では、4G回線、5G回線が開発されモバイル端末での高速通信が可能となったことにより、広告費の内を動画広告やSNS広告などのWeb広告が占める割合は年々増加傾向にあります。

2020年は総広告費の内、『Web広告媒体』が占める割合は約36.2%で、前年の30.3%から大幅な増加を見せました。


これに対して『オフライン広告媒体』が27.2%と、前年の32.1%から大幅な減少となり、どちらもコロナ禍による巣ごもり需要が影響していると考えられます。

出典:株式会社電通 『2020年 日本の広告費』

2020年は多くの広告媒体で広告出稿が減少するという広告業界においても厳しい一年となりましたが、そもそもこの『広告媒体』とは一体どういうものを指すのでしょうか。

広告業界でよく利用される『媒体』・『メディア』などと合わせて、まずは言葉の定義から考えてみましょう。

媒体とは?

『媒体』という言葉の辞書的な意味としては、『一方から他方へ伝えるためのなかだちとなるもの』、『伝達などの手段』と表現されています。物や情報など何かしらを他者(他の物質)に伝えるために使われる物や手段のことを総称する言葉として、『媒体』という言葉は様々な分野で幅広く利用されています。

この『媒体』という言葉は英語に訳すと『media』となります。日本では『メディア』=『広告媒体』として広告業界で使われることが多いため、『媒体』=『メディア』≒『広告媒体』と捉えられることも多いようです。


※『メディア』という言葉には『本』・『CD』・『DVD』のような情報を一時的に記録しておく『媒体』にも使用されることもあります。


また、『媒体』と似た言葉として『媒介』という言葉がありよく混同されがちです。『媒介』とは、『なかだちをすること』という意味を持つ言葉で、こちらは一例ですが、「広告媒体とは、広告宣伝を消費者に行う際の媒介となるものを指します。」のように『媒体』の持つ性質を動的に説明する際などに使われる言葉です。

広告業界で使われる「媒体」の意味

広告業界ではしばしば『媒体』という言葉がそれ単体で使用されます。この場合の『媒体』は、前述の『メディア』の同義語として使用されていることがほとんどです。広告業界では多くの場合、『媒体』=『広告媒体』という共通認識の元、使用されているようです。

『広告媒体』とは、広告宣伝を消費者(もしくは企業)に対して行う際の媒介(なかだち)となるもののことを指します。つまり広告業界において『媒体』とは、テレビであり、新聞であり、屋外広告であり、チラシであり、動画広告であり、SNS広告であるわけです。


今回はこの『媒体』=『メディア』=『広告媒体』という認識の元、『媒体』の種類や特徴について解説していきます。

媒体の種類と特徴

広告宣伝に使用される媒体には、古くから利用されているテレビやラジオ、新聞など不特定多数の人にリーチできるものや、平成になってから登場したSNSを利用したSNS広告など様々な種類が存在します。


数多く存在する広告媒体はその媒体が持つ特徴から、マス広告媒体・オフライン広告媒体・Web広告媒体の3種類に分けられます。それぞれ種類ごとに共通の特徴やメリット、デメリットがあるため、広告宣伝の際は自社の商品・サービスにあった媒体を選択することが重要です。

また、広告効果を高めるために、2種類以上の媒体を同時に利用することも効果的です。

マス広告媒体

マス広告媒体とは『テレビ』、『ラジオ』、『新聞』、『雑誌』の4媒体を利用した広告媒体を指します。この4つの媒体は、不特定多数の人にリーチできる点が最大の特徴です。

2020年、マス広告媒体の国内における総広告費は2兆2,536億円で、前年比86.4%と大きくマイナス成長となりました。全国的に自粛ムードになる中、実店舗を伴う飲食業・販売業などで大々的な販促活動も自粛せざるを得なくなったことが影響していると考えられます。

また、マス広告媒体では、従来の媒体からWeb広告媒体への移行が加速したことも大きなマイナスとなった要因の1つです。

テレビ

テレビは広告媒体の中でも最もポピュラーで認知度の高い広告媒体です。テレビの視聴率は年々下がっているとは言え、今でも一家に一台に当たり前のテレビを利用した広告宣伝は、そのリーチ数の多さが最大のメリットです。

テレビCMはタイムCMとスポットCMの2種類に分類されています。

タイムCMは広告宣伝が放送される時間(番組)が決まっているテレビCMで、リーチしたい層が定まっている場合に効果が期待できます。

対してスポットCMは15秒程度の広告宣伝がどの時間(番組)で放送されるかを指定しないテレビCMです。スポットCMはタイムCMに比べると放送回数が多く設定できることから短期的に商品・サービスの広告宣伝を行いたい場合に有効です。

広告媒体としてテレビCMの利用は、不特定多数の人にリーチできる分、費用が大きくかかる点がデメリットとされています。

また、近年では動画配信サービスやインターネットテレビなどの市場拡大に伴って、テレビ業界全体が低迷気味と言われている点にも注意が必要です。


2020年、テレビ(地上波テレビ+衛星メディア)の国内における広告費は1兆6,559億円で前年比89.0%と、マス広告媒体の中では一番マイナス幅が少ない媒体となりました。これはテレビCMが広告媒体の流通に人の移動が関わらないため、その他のマス広告媒体に比べてマイナス幅が小さかったのではないかと考えらえます。

従来タイムCMを積極的に利用していたスポーツイベントの中止・延期が相次いだことが広告費減の大きな要因の1つで、スポットCMはほとんどの業種で販促活動が減少したことから大幅に減少する結果となりました。

ラジオ

ラジオは古くから利用されている音声のみの広告媒体です。テレビと同じく不特定多数の人にリーチできる点や、放送局や番組、放送時間の指定などを行うことで細かいターゲティングが可能な点、テレビと比べると圧倒的に低コストな点などが特徴です。

テレビCM同様、タイムCMとスポットCMの2種類を選ぶことができ、それぞれのメリットもテレビCM同様です。

また、ラジオは音声のみの媒体のため、『ながら聴き』ができる点もメリットと考えられています。他の作業をしながらでも視聴できるため、最近では視聴者の可処分時間を必要時間に奪わないことから、媒体自体の人気が再加熱しています。テレビと違って『ながら聴き』できるため、広告宣伝に対するネガティブなイメージも少ないと言われています。


注目されているとは言え、他の媒体と比べると利用者が少ない点や、音声のみでの広告は細かい描写を伝えることが難しい点などがデメリットとされています。


2020年、ラジオの国内における広告費は1,066億円で前年比84.6%とテレビCMに次いでマス広告媒体の中ではマイナス幅の少ない結果となりました。テレビCM同様、媒体の流通は電波を介して行われるため、比較的自粛ムードの影響を受けなかったと考えられます。

雑誌

雑誌は情報誌や専門誌など既に発行されている雑誌の紙面を利用した広告媒体です。雑誌のジャンルから読者層の把握が容易なため、細かいターゲティングが可能な点や、紙面との親和性を高めることで訴求力の高い広告宣伝が可能な点などが主なメリットです。

ほとんどの雑誌が全国的に展開されているため、全国へリーチできる点も特徴の1つです。


保存性の高い媒体のため、繰り返し広告が読まれる反復性が期待できる反面、雑誌自体の情報量が多く広告が埋もれてしまい訴求力が落ちてしまう場合がある点がデメリットとされています。


2020年、国内における雑誌の総広告費は1,223億円で前年比73.0%となりました。外出自粛の影響やデジタルシフトの影響から前年割れとなったと考えられます。巣ごもり需要で『家電・AV機器』のジャンルでは前年よりも増加したものの、『ファッション』や『化粧品』など実店舗を伴う販売形態のジャンルで大きく減少となっています。

新聞

新聞は全国紙や地域紙など様々な新聞紙面を利用した広告媒体です。

朝刊・夕刊と毎日発行されている新聞を利用することでタイムリーな広告宣伝が可能な点や、全国への配布、地域に絞った配布、などエリアターゲティングが可能な点、媒体自体の高い公共性から読者に与える信頼度も高くなる点などメリットの多い広告媒体の1つです。

新聞広告は、全面広告、記事下広告、題字横広告、小型広告など種類も豊富なため予算や商品・サービスに合わせた広告出稿が可能な点もメリットです。


毎日更新される紙面を利用する場合、広告が見られる日や回数が限定されているため、非常に短い期間しか広告効果が期待できない点がデメリットとされています。

2020年、国内における新聞の総広告費は3,688億円で前年比81.1%となりました。テレビCMに次いでマス広告媒体では規模の大きな新聞ですが、大きなイベントが軒並み中止・延期となった影響が響きマイナス成長という結果になりました。

『情報・通信』のジャンルではリモートワークやEC関連などで広告需要が増加したため、前年比107.9%と増加したものの、『交通・レジャー』のジャンルでは51.1%と大幅に減少しています。

オフライン広告媒体、SP媒体

オフライン広告媒体はSP(セールスプロモーション)媒体とも呼ばれ、交通広告や屋外看板などの『場所媒体』と、ダイレクトメールや新聞折込、フリーペーパーなどの『直接媒体』が代表的な広告媒体です。


オフライン広告媒体は全てに共通して、消費者により近い位置で広告宣伝が可能な媒体のため、消費者の購買活動により積極的に関与できる点が最大の特徴です。


2020年、オフライン広告媒体(SP広告媒体)の国内における総広告費は1兆6,678億円で前年比75.4%と大幅なマイナス成長となりました。イベント・展示会などが相次いで中止・延期となったことや、実店舗を伴う販促活動の大半が自粛ムードの影響を受けたことなどが大きな要因と考えられます。

交通広告

交通広告は電車やバス、飛行機、タクシーといった交通機関やそれに付随する施設・設備を利用した広告媒体です。

通学・通勤などで多くの利用者が毎日決まった場所の交通機関を利用することから、エリアに特化したターゲティングが可能な点や、広告宣伝の反復性が高い点などが最大のメリットです。


最近では、駅広告や交通機関の車内広告など、多くの広告スペースでデジタルサイネージの導入が進んでいるため、動画広告を利用して情報量の多い広告宣伝が可能な点も特徴の1つです。


比較的、中・長期の広告出稿がほとんどな点や、全国的に訴求したい場合には不向きな点などがデメリットとされています。


2020年、交通広告の国内における総広告費は1,568億円で前年比76.0%と大幅なマイナス成長となりました。外出自粛の影響で交通機関の利用者自体が大幅に減少したこと、入国(出国)規制による空港利用者の減少などが広告出稿減少の大きな要因と考えられます。

屋外看板、ビジョン

屋外看板、ビジョンは、街頭の看板やビルの屋上、壁面などのスペースを利用した広告媒体です。近年ではビルの屋上、壁面などに大型ビジョン(デジタルサイネージ)を設置することで、より視認性を高めた屋外看板などが人気です。

人通りの多い箇所へ広告出稿することで不特定多数の人にリーチができる点や、エリアターゲティングが可能な点、繰り返し訴求できる反復性が高い点などがメリットです。


最近ではデジタルサイネージの普及に伴って短期的な広告出稿が可能な屋外看板も増えてきていますが、基本的には中・長期契約のため、一定のコストが必要な点がデメリットとされています。


2020年、屋外広告の国内における総広告費は2,715億円で前年比84.3%と大幅なマイナス成長となりました。全国的な外出自粛を受けて屋外広告の訴求力が大幅に低下したことを受けて、中でも短期契約の屋外広告で広告出稿が減少したことが要因の1つです。

ダイレクトメール(DM)、新聞折込

ダイレクトメール、新聞折込は、他の媒体で利用している流通ルートを再利用して広告物を消費者の自宅に直接送付する広告媒体です。どちらも既にある情報から配布数や配布エリア、配布先の消費者層などを設定できるため、細かいターゲティングができる点がメリットです。

また、消費者が手元で開封するため広告物が見られる可能性も高く、日刊の新聞を利用した新聞折込では高い即効性が期待できる点などもメリットと考えられます。


比較的安価で広告宣伝が可能な媒体ですが、ある程度エリアを絞った広告宣伝の場合に高い効果を発揮する媒体のため、全国的な訴求には不向きな点は注意が必要です。


2020年、ダイレクトメールの国内のおける総広告費は3,290億円で前年比90.3%、新聞折込では2,525億円、前年比70.9%となっています。どちらも実店舗へ誘導するエリアマーケティングに利用されることが多いため、外出自粛の影響を強く受けたと考えられます。

ダイレクトメールでは、通販関連など巣ごもり需要とマッチしたジャンルにおいてのみ増加傾向が見られています。

フリーペーパー

フリーペーパーは駅やコンビニ、スーパーマーケットなど多くの人が立ち寄る施設を利用した、無料で配布される広告媒体です。


最大のメリットは消費者が無料で手に取れるため不特定多数の人にリーチしやすい点です。さらに、フリーペーパーを設置するエリアの限定や、配布したい消費者層に合わせて設置する施設を限定することで、一定のターゲティングも可能です。

この媒体では、クーポン券などを付けることで費用対効果の測定を行う手法がよく利用されています。


比較的安価で不特定多数の人にリーチできる広告媒体ではありますが、広告スペースが限られている点や、他社の広告に埋もれてしまい視認性が低くなる場合も多い点などがデメリットとされています。


2020年、フリーペーパーの国内における総広告費は1,539億円で前年比72.9%と大幅なマイナス成長となりました。人の往来が多い箇所へ設置するものが主流なため、外出自粛の影響で広告出稿が大きく減少したと考えられます。

Web広告媒体

Web広告媒体は、WebサイトやSNS、メールなどインターネットを利用した広告媒体です。近年ではこのWeb広告媒体が広告媒体を占める割合が年々高くなってきており、今後も益々この傾向は加速していくと考えられています。

インターネット普及直後から利用されているディスプレイ広告や記事広告、リスティング広告やメール広告などに加え、SNSの爆発的な普及に伴って増加したSNS広告、同じく動画配信サービスの普及に伴って注目され出した動画広告などが代表的な広告媒体です。


Web広告媒体全体に共通の特徴として、広告宣伝の即効性が期待できる点、エリアを限らず全国(世界)に訴求ができる点、リーチ数に対してコストが安価な点などが挙げられます。


消費者が自宅で広告に触れられることなどから、コロナ禍での外出自粛の影響もあり、2020年は2019年以前に比べて大幅に全国的な広告費の構成比率が増加しました。

2020年、Web広告媒体の国内における総広告費は2兆2,290億円で前年比105.9%と3つの広告媒体の中で唯一成長市場となりました。近年加速しているデジタルシフトの影響、外出自粛に伴ってEC需要が増加したことなどが影響していると考えられます。


マス広告媒体由来のデジタル広告費(新聞デジタル、ラジオデジタルなど)は803億円で前年比112.3%と社旗情勢によってデジタルシフトが加速化されていることが伺えます。新聞デジタルでは紙面同様、『情報・通信』のジャンルで増加傾向が強く、雑誌デジタルではコミック誌の電子雑誌が大幅な売り上げ増加の影響から広告費においても大きな成長となりました。

また、巣ごもり需要の影響から『TVer(ティーバー)』のようなテレビメディアデジタル市場も全体的に好調で、前年比112.3%と大幅な成長を見せています。

外出自粛や営業時間短縮などの影響から注目を浴びることになったEC業界では、物流系ECプラットフォーム広告費が1,321億円、前年比123.2%と大きく市場を拡大しています。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告はWeb広告媒体の中で最もポピュラーで、Webサイト上の広告スペースを利用してテキストや画像、動画などの広告を出稿するWeb広告媒体です。純広告やバナー広告と呼ばれるものもディスプレイ広告の一種です。

ディスプレイ広告は、Googleが提供するGDN(Googleディスプレイネットワーク)とYahoo!が提供するYDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)の2種類が主流です。大手検索エンジンが保有するユーザーのデータからエリアや属性などを利用することで細かいターゲティングが可能な点がこの広告媒体の最大のメリットです。

リスティング広告とは違い、商品・サービスの購入を検討段階に入る前の潜在層へのアプローチができる点や、自社のWebサイトへ訪問履歴があるユーザーに絞って広告表示を行うリマーケティングが可能な点も特徴です。

購入前段階の顕在層へのアプローチが得意なリスティング広告に比べるとコンバージョン率(ユーザーが購入や資料請求などの行動を起こす確率)が低い点がデメリットとされています。

また広告の自由度が高いため期待していた効果が得られなかった場合の課題追及が難しい点も注意が必要です。

リスティング広告

リスティング広告はGoogleやYahoo!などユーザーが検索エンジンを利用した際に、検索結果に広告を表示させられるWeb広告媒体です。リスティング広告は、Googleが提供するGoogleAdWordsと、Yahoo!が提供するYahoo!プロモーション広告の2種類が主流です。


リスティング広告は、ユーザーが検索したワードと親和性の高い広告が表示されるため、顕在層へ直接リーチできることから高いコンバージョン率が期待できる点が最大のメリットです。

広告出稿に要する費用はユーザーがクリックする毎に発生するため、比較的少額から広告出稿が可能で、コストの調整が容易な点も特徴の1つです。


リスティング広告ではユーザーが検索するという行為に紐づいて広告が表示されるため、企業のブランディングや認知度向上など不特定多数にアプローチしたい場合には不向きな点は注意が必要です。

記事広告

記事広告はタイアップ広告とも呼ばれ、Webサイト上に掲載されている記事などのコンテンツと同様の体裁で広告表示を行うWeb広告媒体です。


記事広告では他の企業が運営しているWebサイトなどを利用して広告出稿を行うため、掲載元の企業が保有しているブランディング力がそのまま自社の広告に反映される点が最大のメリットです。

掲載元Webサイトのコンテンツの一部のようにも見えるため、訴求力が高く、一定のクリック率が期待できる点も特徴の1つです。


記事広告は掲載元の企業(または個人)によって費用や契約期間などが様々な点や、他社の読者層を正確に把握する必要がある点などは注意が必要です。

メール広告

メール広告はユーザーに直接電子メールを利用して広告宣伝を送付するWeb広告媒体です。

メール広告は、メールマガジンのように定期的に配信している記事内に広告を挿入する『メールマガジン型』と広告宣伝のみを配信する『ダイレクトメール型』の2種類に分けられます。どちらにも共通して、直接送付するユーザーを選べる点や、即自的に広告宣伝が可能な点などが最大のメリットです。


その他のメールに埋もれてしまうことや、ウィルス感染を警戒されてしまうことなどから開封率が低い点がデメリットとされています。

また、近年ではSNSの普及に伴って、ビジネスシーン以外での電子メール使用率が急速に減少しており、個人に対するメール広告の効果が薄れている点も注意が必要です。

動画広告

動画広告はインターネット上で動画を利用した広告宣伝を行うWeb広告媒体全般を指します。YouTubeなど動画配信サービスに広告出稿を行う『インストリーム広告』と、WebサイトやSNSの記事内に動画広告を添付し配信する『インフィード広告』があります。

動画広告は、音声と映像で広告宣伝を行えるため、商品・サービスの詳細な宣伝が可能な点や、SNSと連携することで高い拡散力も期待できる点などがメリットです。


4G、5Gの普及に伴って動画広告市場も急速に成長している反面、動画制作の担い手が慢性的に不足していることなどが課題でもあります。


多くのインストリーム広告にはスキップ機能が搭載されているため、開始から数秒でユーザーを惹きつけるようデザインする必要があるなど、広告制作の難易度はその他の広告媒体よりも比較的高くなる傾向にあります。

広告効果を期待するためには高いクオリティの動画制作が必要不可欠ですが、その分、クオリティに比例して必要なコストも高くなる点がデメリットとされています。

SNS広告

SNS広告は、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSへ広告出稿を行うWeb広告媒体です。SNSの普及に伴って注目され、近年では多くの企業がこのSNS広告に注力していると言われています。


SNS広告には、通常の投稿と同じような体裁で広告を表示する『プロモツイート』と呼ばれるものと、広告宣伝専用のアカウントを作成し商品・サービスの宣伝や企業のブランディングを行う『プロモアカウント』と呼ばれるものがあります。


SNS広告最大のメリットは拡散力の高さです。広告内容が多くのユーザーの興味を惹く内容であれば、投稿からものの数分で何百何千というユーザーによって拡散される可能性がある点はSNS広告ならではの魅力です。

また、多くのSNSにはフォロワーや閲覧者の属性を把握する機能が搭載されているため、細かいターゲティングが可能な点もメリットの1つです。


最近では、システムも整備されてきているため比較的簡単に広告出稿が可能ですが、SNS上では情報がすぐに埋もれてしまうため、費用対効果を高めるためには細かい調整が必要な点がデメリットとされています。

出典:株式会社電通 『2020年 日本の広告費』

まとめ

英語で『media』と訳される媒体。様々な意味で使用される言葉ですが、広告業界においては『媒体』=『広告媒体』として利用されています。今回はこの『広告媒体』について詳しく解説していきました。その種類や特徴、メリット・デメリットなどを最後に簡単におさらいしておきましょう。


広告媒体の種類は大きく分けて3つとされています。


それぞれの広告媒体の特徴は以下の通りです。

【マス広告媒体】

・共通の特徴・・・不特定多数の人にリーチ可能


・広告媒体毎の特徴


【オフライン広告媒体】

・共通の特徴・・・直接的に消費者の購買活動に関与でき、エリアターゲティングと相性が良い


・広告媒体毎の特徴


【Web広告媒体】

・共通の特徴・・・リーチ数に対してコストが安価で、全国(世界)への即自的な訴求が可能

・広告媒体毎の特徴


この他にも日々新しい広告媒体が創出され、数多くの広告媒体が企業の販促活動に利用されています。

どの企業にとっても一番優れている広告媒体というものは存在せず、広告宣伝の対象となる商品・サービスやその目的によって最適な広告媒体は違ってきます。そのため、広告宣伝を行う際は媒体毎の特徴やメリット・デメリットを理解し、現状で最適な広告媒体を選定することが重要です。

また媒体を取り巻く状況も日々刻々と変化していくため、その都度費用対効果の測定を実施し、常に情報を更新することで広告費の無駄を削減する意識も大切となります。


2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きく、広告内総広告費は前年比88.8%と9年ぶりにマイナス成長となりました。

中でもオフライン広告媒体のマイナス幅が大きく前年比75.4%と実店舗を伴う飲食・販売業やイベント・展示会などといった業態に大きな打撃があったことが伺えます。

総広告費が減少する中、ここ数年成長傾向にあったWeb広告媒体の利用率は増加傾向にあり、前年比105.9%となっています。これは従来の成長幅+オフライン広告媒体→Web広告媒体-広告費削減の結果と考えられます。

このように社会情勢によっても最適な広告媒体は大きく変わってきます。

今回の『媒体』についての解説を通して、少しでも最適な広告媒体選定のお役に立てれば幸いです。

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