サイボウズの『がんばるな、ニッポン』『お疲れさま、ニッポン』。2020年話題となったメッセージ広告の真意とは?

2020年3月から株式会社サイボウズが発信している『がんばるな、ニッポン』のメッセージ。
そのインパクトのあるフレーズは世間を驚かせ、同時に多くの共感を生みました。

また、同年12月末には『お疲れさま、ニッポン』のフレーズでテレビCM、新聞広告を広く展開。
どのような意図でメッセージを発信したのでしょうか?

その真意について、株式会社サイボウズのコーポレートブランディング部長の大槻様にお話を伺いました。

株式会社サイボウズ 大槻幸夫 様Twitter

 コーポレートブランディング部長 / サイボウズ式ブックス編集長 /
 オウンドメディア「サイボウズ式」初代編集長


<ご経歴>
 2000年、大学卒業後、知人と株式会社レスキューナウを創業。
 2005年、サイボウズへ転職。以降、マーケティングに従事。
 2009年、新規事業「サイボウズLive」立ち上げメンバーに。
 2012年、「サイボウズ式」を立ち上げ、初代編集長を務める。
 2015年より現職。以降、ムービー「大丈夫」、アニメ「アリキリ」、
CM「がんばるな、ニッポン。」などブランディング施策を担当。
 2019年には出版事業「サイボウズ式ブックス」を立ち上げ

『がんばるな、ニッポン』『お疲れさま、ニッポン』の真意

―――昨年3月の新聞広告、7月頃のテレビCM「がんばるな、ニッポン」などのブランドプロモーションについて、とても反響も大きかったようですが、どのような意図・目的で実施されたのでしょうか?

サイボウズでは、例えば自社イベントのテーマを「楽しいは正義」とするなど、
「無駄な仕事の仕方を見直そう」をベースのテーマにした様々な広告やPR活動を行っています。

「がんばるな、ニッポン。」もその一環で、新型コロナ感染症の拡大を阻止するためには、
出社しなくても働ける方々はできるだけテレワークをすることで、

出社しなければならない人たちのリスクを下げよう、というテレワーク推進の広告でした。

2020年がちょうどオリンピックイヤーということもあり、日本人に馴染みのあるフレーズを意識したインパクトの強いものにすることで、
会社の働き方について
権限を持つ経営者層に届くメッセージになったと思います。

2020年3月6日に日本経済新聞朝刊にて掲載された『がんばるな、ニッポン』。
同日午前8時、サイボウズ公式Twitterでも発信。多くのユーザーから拡散・反響があった。

―――対して、2020年12月末に実施されたCM、新聞広告では「お疲れさま、ニッポン」とメッセージを変えて広告を実施されていたことが印象的でした。こちらはどういった意図で放映されたのでしょうか?

2020年は突然の事態にテレワーク対応など、働き方対策に追われた1年でした。
あまりにもイレギュラーすぎる対応で、色々とご苦労の多かった年だったと思います。 

そこでサイボウズでは、年末ということもあり、
この1年間がんばって感染拡大予防に向けて尽力されてきた皆様に「お疲れさま」の気持ちを届けようと企画させていただきました。

12月に放映された「お疲れさま、ニッポン」のテレビCM。
様々な働き方を実践する9人のワンシーンと「2021年、より自分らしい働き方を」のメッセージで動画は締めくくられている。

新聞広告については、まず12月18日に著書を一覧にした全15段広告(全面広告)を日経新聞に掲載しました。

2020年12月18日に日本経済新聞朝刊にて掲載された『お疲れさま、ニッポン』。

その後、12月に放映中のCMと連動し、3日連続で日経にサイボウズ本の広告を掲載しました。
メッセージだけでなく新しい働き方を実践する上での参考書を「経営者」「マネジャー」「若手」でチョイスして、メッセージを発信しています。

15段広告1回、1日だけの出稿ですとその日たまたま新聞をご覧にならなかった方もいらっしゃると思い、
「お疲れさま」のメッセージを届けたい方々ごとに内容を分けて複数回広告を打ちました。

2020年12月21日 日経新聞朝刊

2020年12月22日 日経新聞朝刊

2020年12月23日 日経新聞朝刊

元となる企画部分は自分たちで考える

―――「がんばるな、ニッポン」を始め、「労働時間削減、結局現場に無茶ぶりですか?」「#まとまると強い」など、貴社の広告はインパクトのあるメッセージ性の高いフレーズが多い印象があります。全て社内で検討されているのですか?

基本的には、自社で企画をするように努めています。

クリエイティブ制作はパートナー代理店にお願いしていますが、
元となる企画部分はできるだけ自分たちで考えることにサイボウズはこだわってきました。

お客様の状況、ITシステムと絡めた社会的課題については、私たちメーカーがずっと追いかけてきて熟知しているため、
よりよい訴求テーマを見出せるのではないかという考えです。

なので、メッセージを考える際は必ず、ふわっとしたフレーズではなく、
現場目線で、その時々の課題に即したメッセージとなることをポイントにしています。
 

―――昨年末より、キントーンのCMもよく見かけますが、2021年のブランドプロモーションはどのような方針、施策を検討中でしょうか?
 

企業ブランドのコミュニケーションについてですが、今年また日本社会で大きな課題となるテーマが立ち現れた際には、
私たちが改善したいと考えている「無駄な仕事の仕方を見直そう」と絡めて、コミュニケーションできればと考えています。

 
―――大槻様、ありがとうございました。
 

2021年2月17日に発信した同社の新聞広告「多様性に関するお詫び」がSNSを中心に話題となりました。

2021年2月17日 日経新聞朝刊

広告のタイトルでは「多様性に関するお詫び」、その後には「弊社の取締役が3人のおじさんだった件について。」と記載。

「100人100通りの働き方」を推進し、多様性の実現に取り組んでいた同社内でしたが、
現在の取締役は「おじさん3人」であり、多様性のある職場を実現できていなかったとお詫びをしている。

ネット上では共感の声や自らの意見、一部批判的なコメントが交わされ、こちらの広告内容をめぐってちょっとした討論となりました。

“多様性に関するお詫びなので、問題は「おじさんが居る」ではなく、「おじさんしかいない」…取締役が全員大卒の若い男性だったら同じ問題です。”

“取締役3人が"おじさん"であることをお詫びできる会社って、日本にはまだまだ少ないんじゃないかな。”

“サイボウズの日経広告。取締役がおじさんであることが問題ではなく、性別・国籍・年齢含め、社員をどう登用してどのように成果を出し、どの軸で評価をしているのかが明確に定まっていないと、おじさんが取締役を退任したからって何も変わらないよ。大好きな会社なのに残念…”

ただ、多くのユーザーにとって、多様性について考えさせられる良い機会となったのではないでしょうか。

『がんばるな、ニッポン』をはじめ、現代の“当り前の働き方”を問うメッセージ性の強いサイボウズの広告。
当たり前の光景を問うメッセージゆえ、モヤモヤを感じる方もいらっしゃるとは思いますが、
その“モヤモヤ”について問うことが、新しい働き方の1歩につながるような気もしています。

様々な当たり前が見直された昨年は特に、サイボウズのメッセージを考えさせられた方は多かったはず。

今後の同社の展開にも、注目していきたいですね。


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