タクシー利用者の統計データ解説|タクシー広告の参考に

タクシーは利用者を現在地から目的地まで運んでくれる数少ない交通機関の1つです。法改正などの影響もあり、全国的にタクシーの総台数は減少傾向にあると言われています。今回は、そんなタクシー業界の現状や利用者の属性など、タクシー広告を出稿する際に必要不可欠な知識について解説していきます。

タクシー業界の現状

出典:東京ハイヤー・タクシー協会HP データライブラリー「東京のタクシー2020」

電車やバスなどと合わせて市民の移動手段として必要不可欠なタクシー。国土交通省の平成29年度の統計によると、電車やバス、タクシーなどを合わせた全国総輸送人員は約310億人で、その内4.8%となる約14億人が移動手段としてタクシーを利用しています。

出典:東京ハイヤー・タクシー協会HP データライブラリー「東京のタクシー2020」

東京都に限って言えば総輸送人員の約6%となる3億人がタクシーを利用しており、更にタクシーの利用率が高くなることが分かります。

タクシーの国内総台数

出典:東京ハイヤー・タクシー協会HP データライブラリー「東京のタクシー2020」

近年では様々な形・サービスのタクシーを見かけるようになりましたが、全国的に見れば平成18年度以降、その台数は減少の一途を辿っています。平成8年から令和元年までの間では平成18年の約27万台が最多となり、以降年々台数は減り、令和元年では約22万台まで減少しています。

平成8年にタクシー事業者に対する規制緩和によって最低保有車両数が引き下げられたことなどが影響し、平成12年以降、平成22年までの間、国内総台数は増加の一途を辿ります。さらに平成14年、道路運送法・タクシー業務適正化臨時措置法の一部が改正され、事業者が免許制から許可制へと変更、車両数の増減も届け出さえすれば自由に行えるようになりました。

その結果、多くの都市圏でタクシーは飽和状態となったことを受け、平成22年にタクシーの減車を促すタクシー事業適正化・活性化特別措置法が施行されます。この施工を受け、平成21年から22年の間で約10万台、平成22年から23年の間で約5千台の数が減車となりました。

その後、令和元年まで減少傾向にはあるものの、平成23年から7年間で約1万5千台の減少と、減少幅はゆるやかなものとなっています。

出典:東京ハイヤー・タクシー協会HP データライブラリー「東京のタクシー2020」

東京都内に限って言えば、平成24年以降はタクシーの総台数はほぼ横ばいとなっており、この統計からタクシーという交通機関が主に都心において、現在でも非常に重要な役割を担っていることが伺えます。

タクシーの営業エリア

タクシーには主に受給量の調整を目的として営業エリアが定められています。どのようなタクシーも事前に営業エリアが登録されており、この営業エリア内で乗車、もしくは降車する利用者に限定して営業活動を行うことができます。つまり営業エリア内からエリア外へ乗客を輸送した場合、一度エリア内に戻るか、もしくはエリア内への乗客を輸送する必要があります。

そのため、基本的にエリア外へ乗客を輸送した後は、自車のエリア内へ表示灯を回送の状態で戻ることが望ましいとされています。また、運賃に関しても営業エリア毎に定められているため、東京都心と地方をタクシーで往復した場合、どちらが出発地点かによって料金に差異が生じることになります。

営業エリアは細分化されており、東京都内だけでも「東京特別区・武三交通圏」、「北多摩交通圏」、「南多摩交通圏」、「西多摩交通圏」、「島地区」の5区に分かれています。一見、タクシードライバーや事業者以外には関係のないように感じるこの営業エリアですが、広告出稿を行う場合は注意が必要になります。仮に東京都内全域への広告出稿を想定した場合、5区全ての営業エリアを網羅できる形で出稿先を選定する必要があります。

このように、タクシーの営業エリアは広告出稿を行う企業にとっても非常に重要な要素の1つです。

タクシーの料金

法人タクシーでは輸送に必要な料金にかかる原価の約70%が人件費と言われています。交通業界では人件費、燃料費の高騰など様々な理由から度重なる値上がりが行われてきました。この運賃上昇は交通業界において避けられないことではありますが、電車やバスなどその他の交通期間と比べるとこの値上げ率が非常に低い点はタクシー業界の特徴と言えます。

昭和41年から現在に至るまでの値上げ率を算出すると、路面電車の11.3倍が最も高く、次いでバスの10.5倍、地下鉄・私鉄・JRなどの電車においては5.6倍~6.8倍であるのに対し、タクシーは4.2倍に留まっています。

タクシーの運賃は、初乗運賃と距離加算運賃の合算で算出されます。初乗運賃で言えば、東京特別区・武三交通圏では1.052kmまでが390円~420円、埼玉県A地区であれば1.230kmまでが460円~500円といった具合に、エリアによって違う価格帯が設定されています。距離加算運賃に関しても同様で、エリアによって料金が加算される距離(いわゆるワンメーターと呼ばれる距離)や加算金額も違います。

タクシー料金は一概に都心が高く地方が安いというわけではなく、その地域の人件費や燃料費、売り上げなど様々な要素からエリア毎に運輸局が定めた範囲内の料金で運営されています。

タクシー利用者の属性

国内におけるタクシーの総台数は緩やかに減少していることは前述の通りです。それでは一体どういった人たちが現在でも変わらずタクシーを利用しているのでしょうか。

一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が2019年に実施したアンケート調査では、東京都内のタクシー利用者の約4割が1か月に4回以上タクシーを利用していることがわかりました。

出典:東京ハイヤー・タクシー協会HP データライブラリー「 2019年度(第28回)タクシーに関するアンケート調査結果」

この利用者を年齢別に見ると、10代では11.1%、30代では約35%、20代、40代、50代では40~45%が、60代では50%以上が該当する結果となりました。

出典:東京ハイヤー・タクシー協会HP データライブラリー「 2019年度(第28回)タクシーに関するアンケート調査結果」

職業別では、会社員の約30%に比べ、会社経営で約80%、自由業で約75%と利用者の属性を知る上で貴重なデータとなっています。また、どの年齢・職業においても(主婦を除く)18時以降の利用が多い傾向にあり、ビジネスシーンでの利用というよりは会食への移動や帰宅などといった理由で多く使われていることがわかります。

タクシー利用の主な理由は、職業によって大きく異なるようで、いわゆるサラリーマンでは通勤・商用での利用と買い物・その他臨時での利用がほぼ同等程度であるのに対し、会社経営、自由業では圧倒的に通勤・商用での利用が多くなっています。このことからも経営層と呼ばれる人たちにとって、タクシーは日常的な移動手段ということが伺えます。

まとめ

国内におけるタクシーの台数自体は減少傾向にあるとは言え、全国各地おおよそどの都市でも乗客を輸送しているタクシーは日常的に見かけるかと思います。全国的に見れば台数自体は減少していますが、今でも年間約14億人が利用する重要な交通機関の1つです。

交通機関の中でも、特に経営層の利用者が多いこともタクシーの特徴です。この利用者の属性やエリア毎に管理されていることなどから、広告媒体としてのタクシーには、細かいターゲティングが可能というメリットがあります。

今回はタクシー業界について、統計データなどを紹介しました。この記事が広告媒体としてタクシーの利用を検討している人の参考になれば嬉しい限りです。

タクシー広告については下記記事で詳しく紹介しています。タクシー内で実施できる広告を始め、車体を利用した広告、サンプリングなど様々なタクシー広告を解説していますので、是非ご覧ください。

タクシー広告の種類や効果を徹底解説 | BtoBが得意な交通広告


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