「鬼滅の刃」新聞広告の反響・効果ってあったの?広告料金やネット上の反響をまとめてみた。

12月4日に最終巻が発売となった漫画「鬼滅の刃」。

12月24日現在、放映中の劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」の興行収入が300億を超え、歴代1位の「千と千尋の神隠し」に迫るなど、数々の記録を打ち立てている同作品。

版元の集英社によると、23巻は初版395万部(※)を発行、1巻からの累計発行部数(電子版を含む)が1億2,000万部を突破しました。
最終巻発売日にはファンが長い列を作り、早々に完売する店舗が続々と発生するなど、アニメ・本編が終了して期間がたった今でもその人気の高さがうかがえます。

※初版でいうと、国民的長寿マンガであるワンピースが約405万部(67巻)、ドラゴンボールが約220万部(35巻)なので、その人気の高さがお分かりいただけるかと思います。

さて、最終巻発売日の前後で、鬼滅の刃の新聞広告が話題となっていたのはご存じでしょうか?
最終巻発売記念広告として、12月3日に中央5紙(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞)の夕刊に全面広告、翌4日の同5紙朝刊に各紙4面ずつ計20面の広告が実施されました。

12月3日の日本経済新聞夕刊 
作品で登場する鬼殺隊の長・産屋敷耀哉の名言を用いて、作品に込めた想いが表現された。

12月4日の日本経済新聞朝刊
(写真左から)伊黒小芭内、甘露寺蜜璃、煉獄杏寿郎

12月4日の日本経済新聞朝刊
作者・吾峠呼世晴氏のメッセージがデザインされた広告も出稿された。

私を含め、両日のこの演出には驚いた方も多かったのではないでしょうか?
今回は、この鬼滅の刃の新聞広告に関するまとめと反響・効果についてまとめてみたいと思います。

鬼滅の刃の新聞広告、実は総額6億円!?

12月3日の中央5紙の夕刊に「最終巻発売」を記念した全面広告、翌12月4日、同5紙の朝刊に本編に登場する主要キャラクター15人が各紙3人、1人1面ずつのイラスト他、作者・吾峠呼世晴氏のメッセージなど全部で17バージョンの全面広告が掲載となりました。

※集英社が運営する特設サイトにて、中央5紙に掲載した広告を一覧することが可能です。

Twitterでは4日の朝に「新聞広告」などのキーワードがトレンド入りしたり、朝から掲載紙を求めてコンビニエンスストアを訪れるファンも多くいたようです。
…余談ですが、4日の12時ごろに近所のコンビニを訪れた際、すでに毎日新聞以外の新聞が完売となっていました。

また、メルカリやヤフオク!では各紙セットでの出品も多数見受けられました。

メルカリで「鬼滅の刃 新聞」で検索した結果

ヤフオクで「鬼滅の刃 新聞」で検索した結果

新聞を1つのグッズに変えてしまうくらいのインパクトを与えた今回の鬼滅広告ですが、
実際に新聞に広告出稿するにはいくら位かかるのか、皆様はご存じでしょうか?

例えば、「全国版・朝刊」の全面広告の定価は以下の通りです。
読売新聞 47,910,000円 
朝日新聞 39,855,000円
毎日新聞 25,920,000円
産経新聞 13,950,000円
日本経済新聞 20,400,000円

この金額はあくまでHPに掲載されている一般的な価格ですので、恐らくこの価格より安い金額で実施されたと思われますが…、
単純計算で約6億円。スケールの大きさを感じます。

次に各紙の発行部数を見てみましょう。

「全国版・朝刊」の発行部数
読売新聞 8,099,445部 
朝日新聞 5,579,398部
毎日新聞 2,435,647部
産経新聞 1,358,156部
日本経済新聞 2,068,712部

上記部数=新聞読者数と想定すると約2,000万人に今回の広告が届いたことになります
日本国民の5人に1人が今回の鬼滅広告に何かしらの形でタッチしていると考えると、新聞広告のカバー率の高さを感じますね。
(新聞読者も年々減少傾向にあると言われてはいますが、まだまだ影響力のある媒体と言えるでしょう。)

1人当たりに広告を届けるのにいくらかかっているのか(リーチ単価)にしてみると、実は6億円÷2000万人=30円/人
こうやって見ると、そこまで高くないように感じませんか?

例えば、通販利用者向けに荷物にチラシ同梱をする場合、1人当たり(チラシ1部当たり)の配布単価は平均30~60円ほどかかりますし、
有名な雑誌で誌面広告を出しても1人当たりのリーチ単価(出稿料金÷発行部数)が40、50円掛かる事は珍しいことではありません。

金額が大きい分、「鬼滅の刃だからできた広告施策」だと思われて当然かもしれませんが、
リーチ単価でみれば実は理にかなった施策であると言えるでしょう。

1日で約8,000万インプレッション!新聞未購読者にも広く認知拡大

SNS(Twitter)

今回の新聞同時掲載では、その話題性からSNSでも大反響を呼びました。

下記データは、ヤフージャパンが提供するリアルタイム検索で「鬼滅」というキーワードが入ったツイート数を集計した数値です。
中央5紙で朝刊広告が出た12月4日のツイート数が大きく伸びていることが分かります。

出典:Yahoo!JAPANリアルタイム検索

詳細な件数でみると、
12月1日49,191件
12月2日48,006件
12月3日59,336件
12月4日275,079件
12月5日122,103件
12月6日83,393件

12月22日を起点に1カ月間の平均を出すと、1日あたり約50,000件が平均ツイート数となります。なので、4日だけで通常時の5倍の「鬼滅」ワードを含んだ投稿があった事になります。
最終巻を読んだ読者による反響コメント等も含まれているので一概に全てが新聞広告の効果とは言いきれませんが、
大きな影響を与えたことは確かでしょう。

仮に1ツイートあたりの平均インプレッション数を300impとすると、12月4日だけで275,079件×300imp=82,523,700imp獲得した計算となります
新聞未購読者層にも広く知れ渡ったことが想定されます。


Web検索


出典:Google Trends

Googleトレンドでもその反響を確認することができます。

こちらは、12月24日から過去3ヶ月の「鬼滅」が入ったキーワード検索数をグラフ化したものです。グラフ上の最高値を基準として検索インタレスト(※)を相対的に表しています。100 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示し、50の場合は人気度が半分であることを示します。

※検索インタレストとは「期間中における指定キーワードの検索回数を最高点を100として相対値で表している」指標を指します。

3ヶ月の中で最も「鬼滅」というキーワード検索が最も多かったのは10月17日(土)でした。
これは17日が劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」が公開されて最初の週末だったことや、同日の夜にフジテレビにてTVアニメ「鬼滅の刃」の特別総集編の放映があった事が影響していると考えられます。

17日のピークから徐々にトレンドが下降して30~50を行き来した状態でしたが、新聞広告が展開された12月4日前後でトレンドが75近くまで伸びています。
最終巻に対する反響はもちろん、新聞広告を見たユーザーがTwitterなどのSNS上で発信、拡散され、結果的に検索数を押し上げたのだと考えられます。

主要メディア

また、今回の新聞広告の取り組みは複数のWebメディアで取り上げられました。
代表的なメディアを幾つかピックアップしてみました。

・朝日新聞DIGITAL 月間30,000,000UU
「鬼滅の刃キャラ、全国紙5紙を席巻 朝刊4ページで掲載」

・HUFFPOST(ハフポスト)月間23,400,000UU
「『鬼滅の刃』新聞広告、並べてみたら圧巻。計15キャラが5新聞に

・GAME Watch 月間9,854,886UU
「夜は明ける。想いは不滅。――「鬼滅の刃」の新聞広告を一挙に紹介する特設ページがオープン」

・ITmediaNEWS 月間6,120,000UU
「「鬼滅の刃」の新聞広告、早速メルカリでの転売続出 ネット上では「案の定」の声も」

・電撃オンライン 月間5,000,000UU
「夜は明ける。想いは不滅。『鬼滅の刃』主要15キャラが12/4の新聞朝刊を飾る」

・コミックナタリー 月間4,600,000UU
「「鬼滅の刃」15キャラが3人ずつ本日の全国5紙朝刊に、吾峠呼世晴からのメッセージも」

・animate Times 月間2,800,000UU
「大人気漫画『鬼滅の刃』が本日12月4日発売の第23巻をもって完結! 鬼殺隊の主要キャラクター15名が登場する「1億冊感謝記念広告」が読売新聞ほか全国紙に掲載!」

※UU(unique user)は各社媒体資料より参照。

上記以外にも、大手ニュースサイトで転載掲載や特集記事として掲載されたり、漫画やアニメなど趣味に特化したメディアにも数多く取り上げられました。

ちなみに、通常Webメディアで記事型の広告を出稿する場合、制作込みで数百万円~といったケースが多くなっています。
(記事がインターネット上に半永久的に残ることもあり、紙媒体などに比べると比較的割高。)
例えばHUFFPOSTで記事型の広告を出稿する場合、制作込みで3,500,000円~です。


新聞広告で話題を呼び、Web媒体へ広告費をかけなくとも記事として取り上げられ拡散される…、
まさに、今の時代にマッチした広告手法のお手本のような事例と言えるでしょう。

今回記事を書いてみて

今回の新聞広告は恐らく数億単位の予算で実施となっていると思いますが、
映画やコミックスの出版部数など絶好調な背景を考えれば、安い買い物だったのかもしれません。

また、新聞広告のみならずWebメディアやSNSへ拡散されるなど、結果として使用した予算以上の広告効果を獲得できていたように思います。

これだけ派手な施策ですので早々マネできる手法ではありませんが、
ファンや一般ユーザーが参加型で一緒に楽しめる今回の広告手法は、参考になる部分も多いかもしれませんね。


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