2021年1月の広告費統計

経済産業省により毎月速報値が公開されている、特定サービス産業動態統計調査。2021年1月分の広告業売上高が発表になりました。12月には若干回復の気配も見せましたが、緊急事態宣言の再発令に伴い、再び減少幅が拡大しています。

12月はやや回復傾向を見せたものの、1月は再び減少傾向に

2021年1月の広告業全体の売上高は3,685億円と、前年同月比で72.2%。12月には前年同月比91.8%まで回復を見せたものの、1月7日に再び発令された緊急事態宣言の影響から、再度大きな下落となりました。一方でインターネット広告は伸び幅が拡大し、コロナ禍における広告媒体の選択傾向が、より顕著に現れる結果となりました。

テレビは前年同月比94.9%と検討するも、4マス全体では92.2%と減少

出典:経済産業省 特定サービス産業動態統計調査

新聞雑誌、テレビ、ラジオの4大マスメディアの広告費は合計約1,369億円。前年対比では92.2%となっています。

新聞広告は前年対比82.2%。4~8月は60~70%台で推移し、10月以降は90%前後と回復傾向となっていましたが、ここに来て再び減少傾向に入っています。

雑誌広告は前年比74.4%と引き続き大きく下落しています。4月以降の前年比40~50%台といった水準からは回復傾向が見て取れますが、なかなか回復の糸口が見つけられずにいます。インターネット広告が伸びていることから、紙からWEBへの出稿媒体の変化の影響を直接的に受けていると言えます。

テレビCMは前年比94.9%と、全体的な減少幅に比べて健闘を見せています。12月は102.3%と前年比プラスに転じていたので、再び減少傾向に入ってはいますが、コロナ以前でも90%台が続いていましたので、コロナの直接的な影響は少ないカテゴリーといえます。

ラジオ広告は前年比87.3%と、引き続き下落してはいるものの、コロナ以降一貫して同程度の水準を保っています。

インターネット広告は116.7%と、唯一前年同月比を大きくクリア

出典:経済産業省 特定サービス産業動態統計調査

10月にコロナ以降初めて前年対比を上回ったインターネット広告。以降連続して前年同月比をクリアしていますが、この1月は全体が下落傾向の中、更に上昇幅を伸ばし、前年比116.7%と大きく増加しています。

広告費予算の投入先として、コロナの影響を最も受けてないインターネット広告が選ばれる傾向が更に強まっています。単月でもここまで前年対比で上昇したのは2016年10月以来です。

屋外広告67.9%、交通広告60.9%と引き続き厳しい状況

出典:経済産業省 特定サービス産業動態統計調査

4マス、インターネット広告以外のカテゴリーに目を向けると、交通広告は60.9%と引き続き厳しい状況が続いています。緊急事態宣言によるリモートワークの促進や、年末年始の帰省の自粛、GOTOトラベルキャンペーンの終了など、交通広告には厳しい環境が続いています。お正月恒例の初詣や福袋といった広告も、密を避けるために電車内で見る機会も少なかった印象。

一方、何年も空きがなかった人気駅の看板も、契約期間終了とともに継続が打ち切られ、数年ぶりに空き枠が出ているケースも増えているようなので、出稿を検討されている方は改めて空き状況を確認してみても良いかもしれません。

屋外広告は前年比67.9%と、こちらも引き続き落ち込みが続いています。コンサートなどのイベントや商業施設への集客目的の看板は、コロナ収束までは自粛が続くと予測されますので、都心部の短期看板などは今後も厳しい状況が続きそうです。

折込・ダイレクトメールは79.7%。緊急事態宣言により集客系のチラシが再び自粛傾向に入り、減少幅が拡大しています。

前年対比は前月(2020年12月)と比べて減少傾向

出典:経済産業省 特定サービス産業動態統計調査

12月と1月の各カテゴリー毎の前年対比を一覧で比較してみました。12月は広告費全体の前年対比が72.2%と、2020年12月の91.8%に比べて再び下落傾向に入っています。インターネット広告以外は軒並み12月に比べて前年同月比が減少しています。

緊急事態宣言が再び発令された1月。コロナの影響が長期化する中で、インターネット広告一点集中の傾向は更に強まっていくのか、今後も引き続き注視していきます。


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